Y染色体

 

 男性の性別を決めるY染色体は遺伝子ではそれ以外、大した働きはしていないと思われていたが、そうでもなさそうだというのが専門家筋の最近の話だ。浅学の徒、それ以上のことはわからぬが、Y染色体のことが気になりはじめたのは、皇室のお世継ぎで女帝論が政党の大衆癒合に使われ始めたからだ。

 

 一水会機関紙「レコンキスタ」の最新刊で、木村三浩代表と八木秀次高崎経済大学助教授の対談があった。八木氏は云う。過去の八人(十代)の女帝は男系の女子であり、天皇即位はあくまで次の男系の男子の天皇に継ぐためのピンチヒッターであった。女帝の子が天皇に即位したことはなかった。つまり皇統はあくまで男系継承であり、神武天皇より現代まで125代一貫して男系で継承されてきている。

 

 皇統は天皇の血筋であるということでない。天皇の血につながっているなら女系からにつながる女子が結婚すれば「臣籍降下」、つまり民間人になる。つまり民間人にも天皇家に血が流れていっている。我ら庶民、いまどき市民とでも云おうか、その血をたどれば天皇につながるかもしれない。

 皇統とは天皇直系ということでない。神武天皇の血を父親系統、男系で引き継いでいることであり、それが万世一系である。

 愛子様が女帝(天皇)となり、その子(男子)が天皇となったとき、この皇統、万世一系は消滅する。

  

 Y染色体の話に戻ると、初代の神武天皇のY染色体は男系でなければ継承されない。

初代の男系のY染色体は、どんな直径から遠くなっても男系の男性の中で継承されていく。Y染色体は男性しか継承できないのであるそうだ。

 かつて男系が途切れそうになったとき血縁関係からは遠い六等親の男子が天皇に即位した。そのようにして先人は男系の皇統を守り続けてきた。

 天皇とは権力者でも超人でもない、この血統原理でなりたっている。天皇家の源が大陸からの移民であったにしろ、この列島の民は、この天皇という装置を必要としてきた。それがこの国の歴史、かたちである。

 

 女帝肯定論の中に、男女同権の掛け声で、この際、皇統を消滅させようという企みの確信犯がいることはたしかだ。かつてあまたいたマルクス主義文化人が、転向を表明したとは聞かぬ。いま、また別の顔をし、ぬけぬけと現れてきそうである。

 

 平成十六年 文月之十六日