武器がなければ戦(いくさ)はできぬ

 

 昨年末、日本武道具さんへ出向いた折、<年一本竹刀>を求めた。

週一(竹刀)剣道では新品は年一本でよい。痛み、ささくれた歯抜けしたものは、それ用に残している古い竹刀を“入れ歯”していけば一年持つ。防具も見栄を張らねば籠手以外、何十年持つ。剣道人口減少の憂いは長い。剣道具専門店の近年の事情はいかがなものか。

 

そう、この日、日本武道具さんから長年、お借りしていた『格闘技通信』創刊当時の合本を返却もあつた。

 拙者、『格闘技通信』編集時に得た武道奨励策がある。その見地から物申せば、武道奨励の国策が一向に効果がでないのは経済観点が抜け落ちているからだ。

 出版界の不況が叫ばれ久しいが、その現象の始まりは書店が年に何千軒と閉店したことだ。本商売は書店が最前線である。書店が閉店していけば売り場面積が減り、この波及は取次店、版元に連鎖することは誰にもわかる。しかし、人というものは自信があればあるほど後手となる習性がある。「良い本は売れる」と自負している。先日の思草社の倒産は「良い本は売れる」の牙城が崩れた象徴だと云える。

 

 武道は日本の伝統文化、守り継承しなければならない。そのとおりであるが、その策を政治家、官僚の現場知らずの机上論でしかないから駄目なのである。水際を守らなければ、いつかは本丸が落ちる。

 

 徒手格闘技は近年の流れで道場門下生も微増しているが、武士の表芸の剣、剣道人口衰退の憂いは長く、その下降線の角度も急行下している。

剣道振興策のひとつとして、天敵・支那に支援する金のほんの一部を回し、まず国が日本の武道具店から竹刀三百万本を購入する。これを保管倉庫に入れてから、この三百万本の竹刀をどう消化するか、偏差値の高い官僚に知恵を絞ってもらう。そこから始めることだ。まず武道具店が儲からねば武道振興は成ならい。常道の逆をいくのが実戦剣術の妙技である。ゆえに流派の高等術は門外不出の秘伝となる。

 

 <武器がなければ戦(いくさ)はできぬ>のたとえでないか。学校体育に剣道必修もよいが、その前に指導者に多くの高齢剣道経験者を採用してから事を起こせ。彼らに国庫負担で竹刀、道着、武具は好きなだけ無料進呈する。 

余談。当方の撃剣稽古に日本刀(本身)を数十振り、進呈してもらいたいものだ。国庫負担で(笑)。

 

平成二十年 睦月之十五日