第三十話

平成二十九年 三月七日

 

♪ 鉄はどこから来たのかな ♪

 

刃劍鑑賞をかじっている者なら名刀の産地、古刀五ヵ伝(山城 大和 備前 美濃 相模)はよく知っている。

神話ヤマタノオロチの話は、砂鉄が大量にある地を天照大神の末裔大和朝廷が、大国主命から奪った話だったと、刃劍鑑賞をかじっていない者でも知っている。

 

鉄は海から来たとは誰でも知っている。

海から来る前に、日本列島東地方にゴロゴロしていたとは、知っている人しか知らない。

 

ジャガイモほどの石。川原の小石と変わることないが磁石にくっつく。学術用語で云えば磁鉄鉱。岩手地方ではいまでも川原で採れる。餅鉄(もちてつ)と呼ばれている。磁性の純度の高い磁鉄鉱。

 

鉄が海から来る前に、古代の東北地方には餅鉄は無尽蔵にあった。

カキ殻の付着した鉄滓が出土した。推定3600年より前。縄文時代だ。

縄文人は盆状の野焼炉を造り、餅鉄とカキ殻を入れて火をかけ、還元鉄を取り出していた。鏃{やじり}や釣り針を作っていた。

 

5月に封切りになると云う「たたら侍」を観いく御仁、「たたら侍」に伝えておくてくれないか。出雲のたたら製鉄のずっとずっと以前に縄文製鉄があったと。

腰に差した日本刀のルーツも東北だったとも伝えておくてくれないか。